【目次】
五十肩とはどんな状態？ 
肩の動きはどこで生まれている？
五十肩の本当の原因３つ
「筋肉をほぐすだけ」では治らない理由   

「肩が上がらない」「服を着るのがつらい」「腕を回すと痛い」
このような症状が出ると、多くの方は「筋肉が硬いせい」と考えがちです。
しかし、実際のところ肩の動きの悪さ＝筋肉だけの問題ではありません。
特に40〜60代で多い「五十肩（肩関節周囲炎）」は、筋肉の疲労やコリだけでなく、関節包・腱・姿勢・血流など、複数の要素が絡み合って起こるものです。
今回は、五十肩の本当の原因を、体の構造から分かりやすく解説します。



■１. 五十肩とはどんな状態？

五十肩は医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節を取り巻く組織（関節包・腱板・靭帯・滑液包）に炎症が起こることで、痛みと可動域の制限が現れる状態を指します。

五十肩は大きく3つの段階を経て進行します。
炎症期：肩に強い痛みがあり、夜間痛を伴う
拘縮期：痛みは軽減するが、関節が固まり動かせなくなる
回復期：炎症が落ち着き、徐々に動きが戻っていく

放置していても時間とともに改善することもありますが、関節が固まったまま長期化するケースも多く、早期のケアが重要です。



■２. 肩の動きはどこで生まれている？

肩の関節は、「上腕骨」「肩甲骨」「鎖骨」の3つの骨が連動して動くことで、腕を上下・前後・回旋させることができます。
その可動域の広さは人体の中でも最大で、だからこそ非常に繊細で不安定な構造をしています。
この複雑な動きを支えているのが、肩の深部にある「腱板」と呼ばれる4つの筋肉（棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋）です。
しかし、肩を動かすのはこれらの筋肉だけではありません。
実は、肩甲骨や胸郭（肋骨まわり）、さらに背骨・骨盤までが連動して動いているのです。
つまり、肩の動きの悪さ＝全身の連動が崩れているサインとも言えます。




■３. 五十肩の本当の原因３つ

①関節包の癒着

五十肩では、筋肉よりも「関節包」と呼ばれる膜状の組織に問題が起きていることが多いです。
この関節包が炎症を起こし、内部で癒着して硬くなると、肩の可動域が極端に狭くなります。
いくら筋肉をマッサージしても改善しにくいのは、この関節包の動きが制限されているからです。
特に腕を上げる動作（外転や外旋）で引っかかりを感じる場合は、この関節包の硬さが関係している可能性が高いです。

②肩甲骨と体幹の動きの低下

肩を動かすとき、肩甲骨は肋骨の上を滑るように動いています。
この「肩甲骨の滑走」がスムーズでないと、肩関節だけに負担が集中して炎症が起きやすくなります。
デスクワークやスマホ姿勢が続くと、背中が丸くなり、肩甲骨が外側に広がって固定されます。
この状態では、どんなに肩を動かそうとしても関節が自由に動けず、結果的に五十肩を引き起こしてしまうのです。

③血流と代謝の低下

五十肩の大きな背景には「血流不足」もあります。
肩の深部組織は血管が少なく、冷えや運動不足、長時間同じ姿勢などで簡単に循環が悪くなります。
血流が滞ると、老廃物が溜まり、炎症を起こしやすい環境になります。
また、修復に必要な酸素や栄養も届きにくくなるため、回復が遅れる原因にもなります。
したがって、肩の治療やケアでは「血流を改善する」ことも非常に重要なポイントです。



■４.「筋肉をほぐすだけ」では治らない理由

肩の動きを悪くしている根本は、「筋肉のコリ」よりも「関節と骨格の動きの乱れ」にあります。
つまり、肩だけを揉んでも改善しにくいのです。

五十肩の施術やリハビリでは、肩だけではなく
・肩甲骨の動き
・胸郭（肋骨周辺）の柔軟性
・背骨や骨盤のバランス
といった全身の連動を整えることが欠かせません。
体全体の動きが整うことで、関節包への負担が減り、自然と肩の可動域が回復していきます。



まとめ

五十肩は、筋肉のコリだけが原因ではなく、関節包の癒着・肩甲骨の機能低下・血流の悪化といった複数の要因が重なって起こるものです。
そのため、単に「肩をほぐす」「ストレッチをする」だけでは根本改善にはつながりません。
正しい姿勢を意識し、背中や肩甲骨の柔軟性を取り戻すこと。
そして、肩まわりの血流を保ち、全身のバランスを整えることが、五十肩改善の鍵になります。
「肩の動きが悪い」と感じた時は、筋肉の硬さだけでなく、体の使い方全体に目を向けてみてください。
その視点の変化こそが、五十肩からの回復への第一歩です。
KIC九大学研都市整骨院では、全身の身体のバランスから五十肩の原因を追究し改善に導きます。
現在、五十肩や何かお身体の事でお困りでしたら当院までお気軽にご相談下さい。